DJI Action 2が安くて楽しそうなので買ってみた

DJI Action 2 は、発売からしばらくたってファームウエア・アップデートにより「電子的手ブレ補正」がずいぶん良くなったらしいので買ってみることにした。自撮り用フロントモニターのない「Power Combo」が34,640円というお手頃価格であった。競合のGoPro Hero10は、価格.com最安値が64,566円でAction 2の倍近い価格である。GoPro直販なら「1年間のサブスクリプション付き」で74.000円のところ52,800円にしますとしている。しかし2年目から6,000円のサブスクリプション支払いが始まる。解約は可能なのでサブスクリプションを使わないという手もあるがそれでも高いし面倒だ。なにより新味がなく魅力に乏しい。

Action 2はPowerユニットとカメラユニットを別の筐体に分けて、カメラユニット単体は39×39×22.3 mmでわずか56gしかない。これに対し、基本コンセプトを変えようとしないGoPro10は、112×75×22.6mmで153gあり、厚さはほぼ同じだが高さは約2倍、横幅と重さは約3倍もある。アクションカメラなんだから、値段が高くて大きくて重いのはダメでしょと思う。

わたしはYouTubeを始めた直後の2019年1月に、2018年9月に発売されたGoPro HERO7 Blackを最初のカメラとして買った。わたしは、GoPro7が完成形でGoPro史上最も売れたアクションカメラではないかと思う。わたしも、身体につけたり、自転車につけたり、車につけたりするためのアタッチメントをいろいろと買って試してみた。しかしどれも「実用にはちょっと無理があるかなぁ」という微妙な結果で、2回以上使ったものはあまりなかった。それでもやってみるのはとても楽しかった。その楽しみがアクションカメラの真骨頂ではないかと思う。2019年10月にGoPro8が発売され、それもすぐに買って派手な色彩の紅葉の映像を撮った。しかしこの「GoProの色の派手さ」がわたしはどうも気に入らなかった。

GoPro8発売より少し前の2019年5月に、撮影用ドローン世界トップメーカーのDJIが、自撮り用フロントモニターを採用したDJI Osmo Actionというアクションカメラを発売していた。自撮り用のフロントモニターが注目点でGoProキラーと呼ばれた。わたしは自撮りはしないが「D-cinelike」という「Log風の」モードで撮って後からカラーグレーディングができる点に惹かれた。レンズカバー部分はねじ式でCPLフィルターをつけられるなど、カメラとしてワンステップ上の使い方を学べた。

2020年初頭ころに、3軸ジンバル一体型カメラDJI Osmo Pocketを買った。その前にAPS-Cミラーレス+ジンバルという一段も二段も上の構成にチャレンジし続けたが、ほとんど上手く運用することができなかった。そこで発売から1年以上が経過していたジンバル一体型カメラに興味を惹かれた。2020年11月に後継機のDJI Pocket 2が発売されるとそれもすぐに買った。その後はずっとPocket 2がわたしのメインカメラになっている。


さて、DJI Action 2に戻ろう。安いから試しに買ってみただけであるが、実際に手にしてみると実に楽しい。ユニット間やアタッチメントとの「接合が磁石式」で、つけたり外したりが一瞬でできる。カメラユニットとPowerユニットは単体でも合体していても磁石で鉄柱などにくっつけることができる。そして3種類のアタッチメントが付属している。カメラユニットをPowerユニットから外して磁石で一瞬でアタッチメントに取り付け、撮影が終わったら外してPowerユニットにまた一瞬で接合して充電できる。これはすごい。GoProはアクセサリーに取り付けたり外したりするにはネジを締めたり外したりかなり手間がかかる。だから取り替えながら複数のアクセサリーを使った撮影をするのは面倒なのでやらなかった。そのGoProアクセサリーに接続するためのアタッチメントがAction 2に付いている(黄色で囲った部分)。ちなみにアクションカメラを胸元に付けるこのGoProアクセサリーは、すでにわたしが持っていたもので1,000円もしないものである。このアタッチメントを使えば、カメラユニットは一瞬で磁石でぱちんと固定される。アタッチメントの両側のストッパーを押せばさっと取り外しができる。つまり身に着けて撮影したいシーンだけこれに付けて、終わればすぐカメラユニットを外してPowerユニットに結合して充電するという運用がスムーズにできる。


カメラユニットの内臓ストレージは22GB程度なのでPowerユニットに結合して充電するときにPowerユニットの「SDカードにエクスポート」しておくべきかもしれない。またこういう防水小型カメラやスマホは長回しによる過熱停止が起こるが、車載動画を回し続けるようなことをしなければ問題が生じることはないであろう。なおYouTuberの実験ではAction 2の方がGoPro10よりも少し長く回せるらしい。


1/4インチネジ穴がある自由雲台も付いている(上の右側)。わずか56gのカメラユニットを自由雲台に付けて、周囲360°最大90°真下までカメラの向きを変えることができる。それに1/4インチネジが付いた土台(上の左側)がある。土台の下のカバー(下の左側)を外すと粘着ラバー(下の右側)になっていて概ねどこにでもくっつけることができる。粘着力はけっこう強力で、水で洗うだけで粘着性能は維持される。いろんな場所にくっつけて自由な角度から撮影することができる。どう使おうかと考える楽しみが膨らむ。テーブル上の料理と食べている自分たちを撮りたいようなときもくっつければ誤ってカメラを落としたりせずに済むだろう。わたしはInsta360の120cmまで伸びるポール(現在Amazonで2,000円)に自由雲台を付けて高いところからの映像を撮りたいと思っている。カメラの位置が高くなると背面モニターが見えないが、スマホで画角/構図を確認することができカメラの操作もできる。ちなみに自転車で撮る映像は、車より遅く歩くより速い心地よい変化速度の映像になるので、今のわたしのいちばんのお気に入りである。自転車のハンドルに固定するアクセサリーや車載用アクセサリーはたくさん試してきたので持っている。Action 2は軽いので貼り付けるという新しい方法が加わった。

3つ目のアタッチメントは、Insta360 GO 2と同じような「服の上にカメラを付ける」磁石板ネックストラップである。これはカメラの仰角調整が難しいのでわたしは使わないと思う。

DJIはアクションカメラに進出するにあたって先駆者であるGoProに似通ったOzmo Actionを出した。カメラ性能は互角に近く前面モニタが一歩先を行ったが、普及していたGoProのアクセサリーを共用できる形式にした。つまりいかにもGoPro追随であって「楽しさの革新性」はほとんどなかった。今回のAction 2は、GoPro追随からあきらかにInsta360の楽しさを追随する方向に大きく舵を切った。実際、Insta360はとても楽しいカメラをいくつも出している。

他方、GoProは、サーフィンをしている自分を自撮りするカメラが欲しいと考えた創業者によって生み出された。それが「アクションカメラというカメラの楽しい使い方の領域」を開いた。その完成形がGoPro HERO7 Blackであったと思う。しかしそれ以降「カメラの楽しい使い方を拡げた」のはもっぱらDJIとInsta360であった。GoProは普及しているアクセサリーに対応するためかカメラの形状を変えず、毎年カメラの性能を少しずつ上げた製品を発売してきた。カメラスペックは少しずつ上がるが楽しみ方は全く変わらない。力を注いだのは「電子的手ブレ補正」の改良で、GoPro10でついにジンバルのように「水平維持」もできるようになった。しかし、DJI Action 2も、ファームウエア・アップデートですぐにキャッチアップしている。GoPro10はイメージセンサー有効画素数を大きく増やしたが、所詮は1/2.3インチのスモールセンサーで暗所性能を劇的に改善するようなことはできない。大型センサーを使えば画質は改善するが安くて小さくて軽くて楽しいというアクションカメラの良さは失われる。GoProはどうもその方向に進んでいるように思える。

GoProは革新がなくもう終わりなのかなと思う。一度失敗して撤退したドローン事業に再度取り組むような話もある。さて実際にはどうなっていくだろう?

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