Insta360「FOV制御」と「歪み補正」の最適値を探す

Insta360の360°カメラは、2つの超広角レンズでカメラの周囲のすべての方向を撮影し、その映像を後から「画角や方向を選んで切り取る」ことができる。これを「リフレーミング」という。

上の画像は、無料編集アプリ「Insta360 Studio 2022」のスクリーンショットで、右下の黒い背景のポップアップは「キーフレーム」の設定値である。映像の「画角や方向」はキーフレームから次のキーフレームまで自動的に滑らかに遷移する。

ポップアップの一番下の3行目は「FOV制御」と「歪み補正」である。「FOV制御」はズーム調整で、狭角にすれば映像は拡大するが画質は低下し、広角にすれば映像は縮小して画質は改善する。他方、「歪み補正」は、最小値0.00で直線が直線に見えるよう補正されるが、補正のための切り取り(クロップ)が大きく、画角が狭くなり画質が低下する。0.00から数値を大きくしていくと直線はだんだん歪んでいき、補正切り取り(クロップ)が減るので画角が広くなり画質は改善していく。

ポップアップの一番上の一行目に並ぶ4つのアイコンは、「FOV制御」と「歪み補正」の4つのプリセットをワンクリックで選択できるボタンである。左から「デフォルト」(FOV75.0°・歪み補正0.60)「クリスタルボール」(FOV75.0°・歪み補正1.80)「小惑星」(FOV137.0°・歪み補正1.00)「ナチュラルビュー」(FOV90.0°・歪み補正0.00)がプリセットされている。

ポップアップの真ん中の2段目は、左から「パン角度」「チルト角度」「ロール角度」である。映像をドラッグして方向を決めることもできるが、これらの数値を入力して方向を決めることもできる。たとえばジンバルのように水平を維持しながらパンしたい場合は「チルト角度」「ロール角度」を0.00°に固定して、パン角度だけ異なるキーフレームを打つと、映像はその2つのキーフレーム間を水平を維持しながら等速で滑らかにパンしていく。

さて、超広角レンズの映像は周辺部ほど歪む。これを「ナチュラルビュー(歪み0.00)」に補正すると、歪みの大きい周辺部は引き伸ばされて不自然で不明瞭な映像になってしまう。そこで、数値を直接入れて比較しながら「FOV制御」と「歪み補正」の最適値を探してみた。

 ① デフォルト FOV75.0° 歪み補正0.60
②ナチュラルビュー FOV90.0° 歪み補正0.00
③ カスタム FOV75.0° 歪み補正0.14

①「デフォルト」は、画角は広いがまっすぐな前の道が凹型に湾曲してかなり不自然である。しかし自分を画面の中心に置いた自撮り映像には適しているのでデフォルトとしているのであろう。

②「ナチュラルビュー」は、歪みをなくすために画角が狭くなり周辺部が引き伸ばされてボケて不自然である。もうちょっとなんとかしたいと思う。

③ そこでFOVを75.0°・歪み補正を0.14にカスタム設定してみたところ、画角は「ナチュラルビュー」(90.0°・0.00)とほぼ同じになり、歪みを残した分周辺部のボケや不自然さが少し改善された。これが周りの景色を撮るわたしの「デフォルト」設定だと思う。

以下参考までに、やや極端な設定の例を示す。

④ FOV90.0°・歪み補正1.00

⑤ FOV75.0°・歪み補正0.00

④はFOV90.0°・歪み補正1.00で、頭上の電線がほぼ半円に弧を描いている。これは使うことはないかと思う。

⑤はFOV75.0°・歪み補正0.00で、歪んだ周辺部をかなり切り取っているので周辺部の映像の劣化が目立たない自然な映像になるが、かなりズームアップした映像になる。。Insta360 ONE RS 1 Inch 360 Editionだと、これだけズームアップしてもそれほど画質が劣化していないので、これは使えるかもしれない。

結論としては、360°カメラで撮影して歪みの少ない普通の映像を切り出すには、③と⑤、すなわちFOV75.0で、歪み補正を0.00から0.17の間でズームイン・アウトするのがもっとも自然なようである。


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