OM SYSTEM OM-1を買う理由

 

オリンパスが売却したカメラ部門の新会社 OM Digital Solutions の最初のカメラOM SYSTEM OM-1を4月25日にオンライン注文した。しかし、カメラを受け取るのは相当先になりそうだ。当分届かないからじっくり再検討してキャンセルもできる。だから買おうと思った理由=キャンセルしない理由=をあらためて考えてみた。

1.小さくて軽い(上位のレンズ交換式カメラに比べれば)

わたしはGoProなど軽量のアクションカメラで4K動画を撮影してYouTubeにアップしてきた。しかし、センサーサイズが小さいカメラは、曇りや雨の日や夜など光量の少ない環境では画質が著しく低下してしまう。それにボケ・望遠・近接などの多様な撮影方法を選ぶことができない。それで2年前にAPSCセンサーのレンズ交換式カメラNikon Z50を購入した。軽量で画質は十分に満足できるが、カメラボディ内手振れ補正がないので動画撮影にはジンバルを使わなければならない。すると結局大きく重くなって操作も複雑になってしまう。Nikon Z50 本体450g+標準ズームレンズ NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR 135g+軽量ジンバルFeiyutech G6 Plus 663g の合計で1,248gになる。冬の氷点下の夜の街歩きでジンバルを使った撮影にチャレンジしたが、相当経験を積まないとうまくいかないことを悟った。だから、それより大きくて重くて高価な35mmフルサイズカメラはわたしの検討対象からは完全に外れた。そこにマイクロフォーサーズのフラッグシップ機という興味深いカメラが浮上してきた。

ほぼ同時に発売されたパナソニックのLUMIX GH6とOM SYSTEMS OM-1が検討対象になる。動画撮影しかしないわたしが選ぶべきなのは性能的に動画撮影機能が充実したGH6であるが、わたしにはかなりオーバースペックでオーバーウエイト(カメラ本体823g)である。だからより小さくて軽いOM-1(カメラ本体599g)の方を選択した。重さが224g(1.37倍)も違うのはわたしにはかなり大きなデメリットである。実質価格はキャッシュバックキャンペーンを考慮するとほぼ同程度で、注文してもすぐ手に入らないのも同様である。では軽い他にOM-1の何が良いと思ったのかを挙げていこう。

2.ジンバルがなくても歩きながら動画が撮れる:5軸シンクロ手振れ補正(8段)

オリンパスのカメラの手振れ補正は前からとても評判が高い。OM-1はカメラ本体のセンサーシフトによる手振れ補正能力が7段、手ぶれ補正搭載 M.ZUIKO DIGITALレンズ使用時は「5軸シンクロ手振れ補正」8段という比類ない手振れ補正能力がある。動画撮影の場合はこれに更に電子手振れ補正を加える。パン・チルト・ロール3軸ジンバルは「ジンバル歩き」と呼ばれる慎重な動き方をしないと歩行に伴う上下動や左右のゆらぎを補正しきれない。「5軸シンクロ手振れ補正」は3軸に加えて、上下・左右2軸のゆらぎ補正が加わるので、ジンバル以上の映像安定化が期待できる。わたしにとってはジンバルがなくても歩きながら撮影ができそうなのが最大の魅力である。(GH6も5軸7.5段でほぼ近い性能がある)

3.雨や雪の中でも撮影できる防滴性能がある(シャワー程度の雨に耐える)

Nikon Z50をはじめて使ったのは雪が降りしきる美しい雪景色の夜だった。しかし防滴がなくカメラやレンズ内に水滴が入り込む危険があるのですぐ撮影をあきらめた。OM-1は上からシャワー程度の水を浴びてもカメラの重要部分に水が入り込まない「防滴」基準を満たす(ただし水中でも撮れる「防水」ではない)。雪や雨の中で撮影ができれば使用範囲がぐっと拡がる。今までは晴れの日中しか撮影に出なかったが、これで雪や雨の中でも高画質の動画を撮影してみたいという夢が膨らむ。(GH6もおそらくほぼ同程度の防滴性能がある)

4.歩きながら撮影しすぐ望遠or近接撮影(ジンバル不要ですぐ大きく撮れる)


カメラと同時注文したレンズは、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO / 24-200mm相当(35mm判換算)という超高倍率ズームレンズである。全焦点距離開放F4.0通しの「小三元」と呼ばれるレンズ2本分を1本でカバーするので、交換レンズを持ち歩いて交換する必要がない。
このレンズはカメラOM-1本体との「5軸シンクロ手ぶれ補正」に対応しており、それによって8段の強力な手振れ補正が効く。したがってジンバルを使わずに歩きながら動画撮影ができる。そこで何か興味をひかれる被写体をみつけたら立ち止まってすぐに200mm相当までズームインすることができる。
ズームインできるものは遠くのものだけでなく足元の近くの小さなものも含まれる。24mm相当で最短撮影距離15cm最大撮影倍率0.3倍、200mm相当で最短撮影距離45cm最大撮影倍率0.21倍まで、寄って撮ることができる(テレマクロ)。テーブル上の料理などは広角端24mm相当で、花や昆虫などは望遠で撮る。
このレンズの重量は561gで本体599gと合わせると1,160gになるが、現状のNikon Z50 本体450g+標準ズームレンズ 135g+軽量ジンバルFeiyutech G6 Plus 663g  の合計1,248g より88g軽く、ジンバルのセットアップが不要なうえレンズ交換も不要なので、持ちやすく格段に扱いやすい。

5.やわらかいボケ表現になる(広角単焦点レンズより望遠ズームを使う)

マイクロフォーサーズは、35mmフルサイズにくらべてセンサーサイズが小さい(撮像面面積26%)。そのためフルサイズよりシャローフォーカスになりにくくボケにくい。マイクロフォーサーズは、焦点距離が短い広角の明るい単焦点レンズを使っても35mmフルサイズほどボケないが、焦点距離が長い望遠域では背景がやわらかくボケる。したがって高価な単焦点レンズは買わずに、望遠レンズを使ってやわらかなボケ映像を求める方がよいようである。わたしは「自撮り」はしないから広角の背景ボケはいらない。

6.2つのピント位置を行き来できる(MF「置きピン」機能)

オリンパスのProレンズの多くは「マニュアルフォーカスクラッチ機構」があり、MFで合わせておいたピント位置(「置きピン」)とAFピントをレンズのMFリングの引き/押しで切り換えることができる。AFは基本的に近い被写体にフォーカスするので遠くの被写体にMFでピントを合わせておいて、2つのフォーカスポイントを切り換えることができる。たとえば、玉ボケから被写体にピントが合うとかその逆、街の風景から手前の人物の顔にピントが移るとかその逆などができる。映画の「フォローフォーカス」のように意図的にじんわりフォーカスを変えることはできないが、スロー撮影すれば似た雰囲気を出せるかもしれない。これははやく試してみたい機能である。

7.超望遠レンズが小さくて軽い(上位のレンズ交換式カメラに比べれば)

わたしはすでに Nikon COOLPIX P950という24-2000mm相当の超望遠ズームカメラを持っていて、超望遠ズームイン/アウトが面白くてけっこうよく使っている。イメージセンサーが小さいほど望遠が大きくなるのを利用して高倍率を実現しているが、さすがにスマホカメラレベルの1/2.3インチセンサー(面積はフルサイズの僅か3%しかない)ではあまりにも画質がよくない。
マイクロフォーサーズカメラはレンズ交換式カメラの中で最もセンサーサイズが小さい(撮像面面積はフルサイズの26%)。その分フルサイズより画質が劣るのは否めないが、静止画写真の一部分を拡大すると差が出るという程度である。この僅かな画質の差と軽量化・機動性の利点を天秤にかけると、鳥や動物や飛行機などの遠くで動く被写体を手持ちカメラで追いかけて写真撮影したい場合はマイクロフォーサーズの方が良いであろう。更に、写真よりドット数が少ない4K動画の画質の違いはそれほど明瞭にならないので、一般の4K動画撮影にはマイクロフォーサーズで十分であろう。
わたしもいずれM.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS(フルサイズ換算200-800mm相当)の超望遠レンズ(1325g)を手に入れたいと思う。本体(599g)と合わせて1,924gになるが、一脚で重量を支えればわたしでも運用が可能ではないかと思う。
この超望遠ズームレンズは、ズーム全域最短撮影距離1.3m、最大撮影倍率は望遠端800mm相当で0.57倍である。超望遠で近くの花や虫などを撮影すると被写界深度が数ミリから数センチに著しく浅くなり前景背景がボケる。被写界深度の深さは絞りで調整できる。理論的にはおおむねそのように理解したが、やってみないと実際どうなのか分からない。

(追記)わたしは超望遠域は風景ではあまり使わずテレマクロの方を多く使いたいかな。100-300mm(200-600mm相当)の軽くて(520g)性能が高く安いレンズがあった。テレコンが使えないので600mm相当どまりだが軽さ最優先だ。超望遠はこちらにしようかなと思いはじめた。

こうして整理してみたら、OM SYSTEM OM-1はやっぱり買い=キャンセルしないで待つべき=と確信できた。だからはやく届かないかなぁ…という思いが増した。

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